この絵のおまけ小話です。
 

「さあ、そろそろキューブが動きます。みなさん、潜航艇に戻りましょう!」

今回のキューブでの戦闘を終え、お題をクリアした一行。
シドの声もどこか清々しげである。
コモディーンメンバー達は意気揚々と潜航艇に引き揚げて行く。

「さ〜て、お腹も空いたことだし、サクサク帰るわよ〜!」
「みんな早いなあ・・・、急ごう、お姉ちゃん」

するとアイはいつも並んで帰る人が見当たらないことに気が付いた。

「待って、ユウ。リサは?」
「まだあっちに・・・あれ、大丈夫かな?リサ」

リサはユウ達の後方でまだ座り込んでいた。
アイとユウは彼女に駆け寄る。

「お〜い!リサ〜!早くしないと〜!」
「あ、うん、そうね。もうちょっと・・・待ってくれる?」

リサはどこかおぼつかない足取りで立ち上がり、すぐにまた倒れてしまった。
「痛っ・・・」
顔をしかめるリサを双子はは心配そうに支えた。

「リサ、ひょっとして足怪我してるの?」
「そうみたい・・・でも、大したこと無いわ。大丈夫」
そう言ってリサは微笑んだが、アイには通用しない。
「立てないようなのは大丈夫って言わないの!ユウ、リサを起こすの手伝って!」

しかし、双子とリサの背丈の違いからか、なかなか上手くいかない。
「むぅ〜、シド達こんな時に限ってさっさと行っちゃうしィ〜」
「あ、お姉ちゃんお姉ちゃん!風がまだいるよ!」

ユウが指差した先には相変わらず地面に座り込んでいる風の姿があった。
彼は皆と一緒に帰るようなことはせず、いつも気が付いたら潜航艇に戻っているのだ。

「手伝ってもらおうよ」
「む〜、頼りないけどこの際おじさんでもいいや。よし、引っぱってくるわよ!」
「ち、ちょっと・・・」

双子が風を連れて(引きずって)くると、リサは何となく気恥ずかしくなった。
「風、リサが立てないみたいなんだ。歩くの手伝ってあげてほしいんだけど・・・」

風はふと、リサの足元に目を落とした。
「あ・・・無理にとは言わないから・・・」
「折れている」
「えっ」
すると風はリサの前にに背を向けてしゃがみこんだ。
三人は一瞬訳がわからなかったが、風がチラッとリサを振り返ったことで何となく言いたい事が分かった。

「ひょっとして、乗れってこと?」
「おじさんもたまには人の役に立つのね〜♪」
「い、いいわよ・・・その、おんぶなんて・・・」
「ふふん、リ〜サ?」
何故だかアイは楽しそうに行った。
「人の好意は素直に受け取る、これって基本でしょっ!」

結局、風自身も放っておいたらそのまま動きそうもなかったので、リサは好意を受け取ることにした。

風の広い背中にもたれ掛かって、首に腕を回す。
すると風はリサの足を支えてひょい、と軽く立ち上がった。

そして何も言わずにすたすたと潜航艇に向かって歩いていく。

「あ〜、ちょっとおじさんは〜や〜い〜!!」

さて、落ち着かないのはリサである。
まさか22歳にもなって人におぶってもらうことになるとは思ってもみなかった、というのもある。
だがそれ以上に。
彼の背中や、長い髪がじかに触れているというのが。

彼は何を考えているのだろう・・・?


リサは小さな声で言った。
「ありがとう。・・・風」


風がチラ、と振り返るとすぐそこにリサの穏やかな笑顔があった。

目が合うと、リサは少し照れたように目を伏せ、風の肩口に頬をよせた。

リサの息が風の首筋をくすぐる。

ぼさぼさに伸ばした髪のせいで他人には分かりづらいが、風の頬はほんのりと赤く染まっていた。


マントごしにお互いの体温を感じながら、二人は幸せな帰路を辿っていったのだった。


終わり。

・・・余談。

リサを背負って帰ってきた風を見て、
シドがこっそり泣いていたのに気付いたのはミィレスだけだったとか。



<いいわけ>
・・・最期らへん双子完全無視かい。
まあ、いいや。(いいのか)書きたいものは書けた。以上。

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